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未来の働き方=リモートワーク? (2)

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前掲の「未来の働き方=リモートワーク? (1)」では、リモートワークに対する従業員の側から見た場合、実際やってみてどうだったのか、ストレスはあったのか、ということをアンケートなどを頼りに考えました。

 

結果的には、過半数の方が満足し継続したいと考えています。それに、20代の若者は積極的な感想を持っているが、年配の方になるとストレスを感じる人が多いということがわかります。

 

では企業側の意見を見てみましょう。組織・人事領域をテーマにした調査・研究・情報発信を行なっているカオナビHRテクノロジー総研は、2021年1月下旬に調査を実施している。それによるとリモートワークの実施率は、会社の規模が大きくなるほど高くなっていることがわかります。

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ホワイトカラー3職種(営業職、事務系管理職、事務職・技術系事務職)は、現場従業者が含まれる他職種と比べると、リモートワークの比率は39.5%と高かく、また勤務地域別では、首都圏のリモートワーク実施率が40.2%と顕著に高いという結果でした。

 

緊急事態宣言が発令された上でのリモートワーク実施率は全体で24.6%であり、決して高い実施率とはいえません。では、実施できない理由とはなんなのでしょうか?それをみてみることにしましょう。

 

アイティメディアが実施したテレワークの実施状況に関するアンケートによると、テレワークを導入できない理由のトップ5は、「出社しなければできない業務が多い」が最も多く65.5%、次いで「持ち運べるPCが与えられていないため」が40.8%、「社内の労務規定が整備されていないため」が34.4%、「環境整備に避ける予算がない、少ないため」が33.1%、「経営層の理解がないため」が25.5%でした。

 

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これらは、リーモートワークが適さない仕事を除けば、そもそもリモートワークを会社の制度として整備していないということになるでしょう。それは、経営者がリモートワークを取り入れることに消極的であることの表れではないでしょうか?

 

カオナビHRテクノロジー総研の別の調査項目で、「制度はあるが利用していない」という層も1割程度は存在するのですが、58.8%がそもそも「リモートワークの制度がない」と回答する結果が出ています。

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欧州の一部では、すでに労働者の「在宅勤務権」が認められており、ドイツや英国でも政府が検討を開始したと報じられています。日本では、企業に任されているだけなので、プレッシャーが全くない状態です。

 

さまざまな調査で明らかになってきているのは、従業員と経営者の間にある温度差です。経営者がテレワークに否定的な理由には、自宅で仕事をこなす形態だとサボる人が増えるのではないか、という考え方があるようです。

 

終身雇用とメンバーシップ型雇用で、机を並べて仕切りのないオフィスで仕事を長年してきた年配の社員や経営者が、「サボるのではないか」と想像するのはわからないでもない。そして対面でコミュニケーションしないと「良いアイデア」が生まれたり、「チームワーク」が生まれない、となんら科学的根拠のない思いを持つのも、「まあ、そう思うよなあ」と若干のシンパシーは持てます。

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こういうふうに考えてみたらどうでしょうか。従業員あたり、オフィスで仕事をしてもらうのに一体どれくらいのコストを企業が背負っているか?当然都心にオフィスがある場合は高くつきますが、使用している面積、交通費、その他で少なくとも月額8万円から10万円かかっているらしい。リモートワークに変えることで大幅な固定費の削減ができるのではないでしょうか?

 

都心一頭地のオフィスを取っ払って、必要なだけのコンパクトオフィスに変えて大幅なコスト削減をしているDeNA(株式会社ディーエヌエー)などの企業が出始めています。固定費を年間30%削減し、社員の生産性が上がり残業代も削減できている企業もあるほどです。

 

この状況を睨んで、さまざまなタイプのオフィススペースを作り、都心以外でもレンタルしている企業も増加している。共有スペースには木がいっぱいうわっていて、実っている果物を無料でもいで食べられるとか、面白い発想で生産性に寄与するというコンセプト。

 

わたしがいた、Googleのフィリピンオフィスでは、色々なタイプのスペースがあり、好きなところで仕事をしてもいいということになっていました。飲み物やスナックもフリーでした。一人で個室に籠るもの、大きな机で数人で仕事をするもの、寝転んでミーティングするもの、色々あって、自分の気分で選んでいたのを思い出します。

 

確かに、リモートワークを導入するにあったて、どの職種にどのように適用するのか?人事評価制度をどうするか?外部からのアクセス・セキュリティは?リモートワーカーへの補助はどうするか?押印はどうするか?さまざまな、経営にまつわる整備作業が発生します。そして、管理手法も変化せざるを得ないので、マネジメントのトレーニングも必要でしょう。

 

変化する時には必ず避けられないトレードオフがあります。そしてやってみなければわからないことも多々あるでしょう。マネジメント視点でのリモートワーク効果が有効かどうか、業務処理件数や処理にかかる時間はどうかなどを定期的に測定し、検証します。導入して終わりではなく、継続的に運用するために改善することは必須です。

 

いつの時でも、「変化は痛みや苦労を伴う」ものです。より良き未来のために、乗り越えるものです。決して経営側だけではなく、従業員側も同じでしょう。「リモートワークはやってみたけれど」的な話はいっぱいあります。小さな子供が家にいて、カンファレンス中にやってきて中断させられるとか、同僚と会えなくて寂しいとか、それらがストレスと表現されるわけです。

 

5%社員は午後の時間になにをしているのかといえば、主に「対話の時間」に充てているのです。インターネットなどから情報収集するのももちろん重要ですが、それ以上に「人から得られる情報を重視する」のも5%社員の特徴で、みずから動いて人に話を聞きに行く作業を積極的に行っていました。

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                  Amazon                 

 

これは、越川さんの分析です。5%の社員にはオフィスを動き回る習慣があるそうです。その目的は、仕事の質を上げるための情報収集なんですよね。

 

わたしが、産業アナリストをしていた時を思い起こすと、他の分野のアナリストの意見を聞くことはすごく大事でした。パーティションで仕切られた個人オフィスで仕事をしていましたが、必要な時に「ちょっといいですか?」と言って意見をもらいに動く。みんなそうでした。リモートワークになったら、「ちょっといいですか?」ってどうすれば良いのかと考え込んでしまいました。ほとんどは、椅子に座ったままの仕事ですが、個人ブースの門を叩くのは茶飯事でした。

 

まあ、全員がオンラインになっていて、メッセージを送ればできるような簡単なことだけれど、実際やってみるとどうなるんだろうかと思ってしまうんですね。

 

少なくとも今後は、「with コロナ」を前提に考えるしかない。とすれば、パンデミックをきっかけに「働き方」を見直し、従業員に生産性の高い良い仕事をしてもらうのは大きなメリットになりませんか?大事なのは、「やってみる」ことと、絶えずそれを最適化するために変更することです。いかがですか?

 

でわでわ